国立国際美術館「ルノワール〜伝統と革新〜」

 本日のメイン、「ルノワール」を見た感想を最初に言いますと「思っていたよりも、作品が多くまずまず良い内容だった」というように感じました。
 具体的に上げていきますと・・・、これは私自身がルノワールのことを名前と「印象派」ということしか知らなかったのもあるんですが、元々、「食べていくため」と言う理由もあり最初は陶磁器の絵付け職人として働いてきたこと、また、最初期の画風はその後の印象派とは似つかないまさに「お手本」のような緻密な絵画であったという点、晩年には古典的な手法に回帰してゆくという流れなどなど、幅広い作品を見ることが出来ました。
 しかし、私が見ていて感じたんですが、手法の変遷があるにせよ、人物が風景画ともに共通するものとして「動き」があるものが、どちらかといえば、古典的な緻密な描写よりもこちらに「グッ」と伝わって来るのが感じられました。ダンスをする男女や感受性が高い繊細な心の持ち主であろう友人の娘の肖像など、見るものにその雰囲気がバシバシと伝わってくるんですね(←もっとも、「古典的な緻密な描写」が合わないというのではなく、昨年のルーブル美術館展で見たような驚嘆のレベルの超緻密な静物画など、圧倒的な描写でこちらに「手を出せば手に取れるんではないか?!」というほどの「写真以上にリアル」なものもあるので、今回のルノワールに関しての私の感想としてはという意味になります)。しかも、興味深いのは、これら良いなーと感じた絵画に関しては大抵が海外の美術館所蔵作品であるという事実にも驚きました。まぁ、ルノワール自身が海外の人なんで当然と言えば当然ですが、展示内容を見ている限り日本国内でも相当数のルノワール作品を所有しているという事実を考えると私の個人的な今回の興味深い発見でした。
 あと、このルノワールという人は、60歳にして第3子を授かったり(←奥さんは42歳の時だったようです)と、「なかなかやるなー」という驚きもありました。
 しかし、晩年にはリウマチをわずらい手が不自由になり、手首に包帯を巻いてそこに筆を固定して絵画を描くと言うキャンバスのやわらかい絵からは想像できない苦しい晩年であったわけですが、それでも、描くことを止めずに常に変化を追及していた姿勢は、これまで見てきた様々な画家全てに共通するものであると改めて感じました。