国立国際美術館「他人の時間」展、「ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours」展

 今年見た展覧会の中では、上位に入る展覧会でした。過去からの視点、例えば、フィリピンのマルコス政権下のデモ行進のプラカードを全て白紙にしてしまって、どんなスローガンが書かれていたのか?わからないながら、はたして今でもこのプラカードの内容は達成されているのか?という視点。スーツにぎこちなく着替える男性の映像から、スーツに着替えて仕事をするという文化そのものが、実は、現地の文化と合わない→西洋からもたらされた文化という視点。などなど、日々過ごす中では気がつきにくい視点からのアプローチが興味深かったです。
 知らず知らずのうちに学習?している現実が、実は、あいまいなものだったり、もっと別の視野を広げる重要性といったものを感じることのできる内容だったと思います。
 ヴォルフガング・ティルマンス展のほうは、これまた、かなりの展示作品の量で、かなり観賞に時間がかかるものでしたが、私が感じたのは単純に気が向いたものを写真で撮影するという行為(実際には計算されて撮影されていますよ!)が、後々見返してみると真実を捉えているのにも驚かされます。こうしてみると、自分のスマートフォンの写真にも今は気がつかない後年に気がつく真実が隠れているのかもしれません。そう考えると、何気ない写真も大切に思えてくるのが不思議ですね。