「絵画の庭〜ゼロ年代日本の地平から〜」

 春の美術展覧会第一弾として現在、国立国際美術館にて開催中の「絵画の庭〜ゼロ年代日本の地平から〜」を鑑賞してきました。今回、国立国際美術館が大阪中ノ島に移転オープンしてから5周年ということで展示にも気合が入っているのかこの美術館としては珍しく全館展示の展覧会となっていました。また今回の展覧会は2000年代以降の日本の具象画の作家に焦点を当てた展示となっており、作家数も28人と大勢の現代作家の作品を見ることが出来ました。
 で、見てきた感想ですが、なるほど確かに2000年代と言われればそうなのかなと言う気もします。「サブカルチャー文化(漫画・少女)的なものや日本画的なもの印象派的なものなどなど、いろんなジャンルをミックスした結果がこれらの具象画です!」ということなんでしょう。明らかに、花鳥画的な日本画に影響を受けているもの、小さい子供が描きそうな女の子のメルヘンチックな世界(実際には、描かれているのはメルヘンチックであってもヘビーな内容だったりしますが)、狂気とアートの境目のような際どいもの(←あくまで私個人の感じたものですが)、アートと言うよりイラスト的な感じのするもの・・・。確かに、普通の絵画とは別の路線を進んだ形と言えるのは間違いないと思いました。
 しかしながら、正直「おぉ!」と強く感じるのはあまりなかったんですが、日本的銭湯と今流行りのスパを融合させたシニカルな視線の作品などは、なかなか面白いと感じました。
 結論から言いますと、結局のところ本当の意味で全く新しいものが生まれる過渡期の作品群であると私は感じました。考えてみれば、世の中の流れとしては無難な感じが多くあふれている状況そのものを作家たちは敏感に感じ取った結果が、今回の展覧会の作品群であるとするなら、過渡期を経た、まさに2010年になった今年からが新しい胎動が始まるのではないかとの印象を受けました。