視点を変えて「高校時代の友人N・H君の結婚式」

 ここからは、今回のN・H君の結婚式という範囲を超えた別の視点で私自身感じたことをいくつか上げてみたいと思います。
 まず、会場がすばらしいホテルであったのですが、最初に会場に到着し受付へ行くにあたり、螺旋階段を降りて行ったのですが、その際にN・T君が「やっぱ凄いな」と内装や設備について思わず語っていましが、この時に、実際にその螺旋階段を降りながら私はふとイメージに浮かんだのは、まさに近代以降の百貨店の歴史のイメージであり、「デパートを発明した夫婦」そのものの内容でした。最近の研究ではヨーロッパの歴史と「螺旋構造」には深い関係があるとの説を見たことがありますが、それに豪華な装飾を組み合わせるというのはまさに、産業革命以後の近代という時代から続く「イコン(←敬拝、崇敬の意味))」であると強く感じました。
 しかし、そのなかにあって今回の披露宴では、新郎新婦ご両人の意志が反映された演出や料理が新たな時代の「イコン」の芽吹きを感じました。具体的には、ただ単純に「豪華」というのではなく、しっかり地元食材を使用し、また、洋食にきちんと日本の和食材(特に、牛肉料理の際にゴボウが添えられていたのは象徴的であると感じます)を取り合わせる、というようなこれまでならば無視してきたような視点が織り込まれている点を強く感じました。
 なによりも、式に集まった出席者の方々が新郎新婦の人徳による縁であることがヒシヒシと伝わって来て、演出とか料理以上に感動させてくれました(←つまり、何が本質として一番大切なのか?お二人がそれを実際に見せてくれたわけです。)。
 そう考えると、今日本で起こっているこの国難の時期に挙式を行ったN・H君の意味は非常に大きかったと感じます。
 昨年見た、「絵画の庭〜ゼロ年代日本の地平から〜」に感じたゼロ年代の終焉と新時代への息吹(それは、見た目の美しさの後ろにある矛盾に対する反動)が徐々にではありますが、このような披露宴というような場所からでも顔を出し始めていることを感じることができました。このことを実際に教えてくれたN・H君夫妻に感謝です。