京都高島屋グランドホール「犬塚勉展−純粋なる静寂−」

まず、最初に「犬塚勉展」を鑑賞してきました。犬塚勉という画家の名前を知っている人はまだそんなに多くないと思います。私自身、2年ほど前に放送されたNHK日曜美術館で初めて知った画家で、38歳で作品制作のために入った山中で遭難し亡くなるまでの短い人生の中で残された作品を一覧できる機会ということで、結構楽しみにしていました。

結論を最初に言いますと、良い展覧会でした。

初期の自身の画風の模索の時期は、サイケデリックな作品があったりと、はたまた、東山魁夷のような馬の作品があったりと晩年の完成期とは全く異なる作品であったのが、自身の入院というアクシデントを境にガラっと極めて精緻な精密画へと変貌していき、最終的には、精密画を超えた自然の中の「アミニズム」を感じさせる未完の絶筆へとつながっていくわけです。

私は、この絶筆となった作品も印象深かったのですが、この絶筆の前段階となる野原の作品が一番印象に残りました。何気ない、どこにでもありそうな野原の風景なのですが、見る者に強い印象を与える力強い作品で、思わず立ち止まってしばし見入ってしまいました。