姫路市立美術館「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」

 なぜか、ロシア芸術の展覧会は地方(以前も「「ロトチェンコ+ステパーノワ─ロシア構成主義のまなざし」展」が滋賀県でありました)で開催されるんですかね?というわけで、東京では好評だったという「レーピン展」を姫路まで見に行ってきました。
 感想を最初に言いますと、予想以上に良くてわざわざ姫路まで来た意味があったと思わせるもので、久々に図録も購入しました。
 レーピンという人は、トルストイ(これは私でも名前は知ってる有名人ですね)と同時期に生きていたそうで、当時のロシアの様々な文化人とも交流があったようです。また、時代背景的に帝政ロシアの末期からロシア革命、ソヴィエト時代という激動の時代を生きた画家であり、晩年にはロシアを離れフィンランドで最期を迎えるという激動の人生だったというのも作品に大きな影響を与えているようです。
 ともかく、私自身もレーピンの名前を今回の展覧会で知ったわけですが、名前を知らなくても一度は見たことがあるかもしれない「イワン雷帝とその息子イワン」」という暴君として有名なイワン雷帝が一瞬の激情によって息子の皇太子を撲殺してしまった直後の雷帝の取り返しの付かない現実に対する反省と絶望の場面を描いた作品は有名で、私も知っていたんですが、まさか、このレーピンが作者だと思ってませんでした*1。それでも、「休息」「思いがけなく」「ゴーゴリの『自殺』」「決闘」といった秀作がこの目で見れたのは非常に幸運だったと思います。
 これらの、レーピン作品から見えてくるのは人間の愚かさ・たくましさという内面から出てくるリアリズムでしょうか。たった1枚の絵画を通して、その人の人生を表現している見事な場面描写は見るものを圧倒し、また、当時の状況を垣間見たような感覚を持ちました。
 ネットの情報や図録の情報では、ロシアは当然として、ヨーロッパでは展覧会が開催されたりしているようですが、日本ではこれほどの作品が一同に集まった機会は今までなかったとのこと。姫路は一足遠いなー、と感じる人もぜひ一度見に行ってみることおすすめします。

(追記)
購入した図録を見ていると、解説に2011年イギリス・ロンドンのオークションで「6億円で落札された」との記述が!海外ではそんな有名な画家なんですね!

*1:今回の展覧会には出品されていません