京都国立博物館「鳥獣人物戯画と高山寺」

 今年の秋の美術展の中でも要注目の「鳥獣人物戯画」展を見に行ってきました。まず、その人気に驚きました。私は正直、並ぶことなく1時間程度で見終えるだろうと思ってたんですが、なんのなんの平日の11/14(金)に行ったにもかかわらず、館外で120分待ち。さらには、館内で50分待ちという大行列!久々に疲れましたねー。
 この「鳥獣人物戯画」ですが、約800年ほど前に制作されたもので、現在では甲・乙・丙・丁と4巻で構成されています。いわゆる漫画の原型的な生き生きとした動きの描写が特徴ですね。今回、明治時代以来の修理が行われたのにあわせて全巻の公開となったわけです。 国宝に指定されているものの、この作品は元々はどこかに依頼されて製作されたものではなく、絵師が赴くままに描いたとされ、それでいて、しっかりとした生き生きとした表現がなされているには絵師の技量がしのばれますね。
 また、この鳥獣人物戯画を所有する高山寺の中興の祖である明恵上人は和歌山の現在の有田川町出身で、親鸞と同年齢という激動の鎌倉時代を生きた人物だそうで、手元に置いていた子犬の木像なんかも展示されていました。
 それにしても、明恵上人にしろ法然親鸞にしろ、この激動期の鎌倉時代のほぼ同時期に現れた思想家はその後の日本の思想に大きな影響を与えたわけですが、大きな激動期というのは傑出した人物が現れやすいのかもしれませんね。