わが母 最後のたたかい介護3000日の真実 (著)相田洋(出版)NHK出版

 NHKドキュメント「電子立国・日本の自叙伝」「マネー革命」や「航跡―移住31年目の乗船名簿」で非常に鋭くかつ見事な編集でわかりやすく伝える優れたドキュメントを作られた相田洋氏の最新作品です。
 読み進めいていくと良くわかりますが、あまりに身につまされる箇所が多く、胸が痛くなってきます。これから、両親が年老いていったときに、自分が筆者のような献身的な介護を行うことができるのか?また、文中で出てきますが状況の変化に応じて家の改装費用が発生。また、ショートステイやヘルパーさんの派遣の要請などそれぞれの事態に応じて費用が発生。最後の葬儀費用まで考えると約500万近く費やしていることが記されています。そして、この費用を含めた負担の責任の分担で兄弟同士が仲たがいしてしまった事実など赤裸々に語られており、逆に言えば、反面教師として欲しいという著者の強い意志の表れであるわけです。
 特に、最終章の部分は「現代の姥捨てビジネス」と表現されていますが、現状の日本における人の一生の最後の現実をみるにつけ、空しく感じてしまうのは自分が理想主義だからでしょうか?
 昨年1月から、移動販売事業、今年4月からは宅配事業と配属されてきましたが、本書の内容は、訪問先のお客様の延長線上に見える現実の一つの形であることを強く感じるので、目前にやってくる現実であると思うと余計に胸が痛くなりました。