シャネルの真実 山口昌子 新潮社文庫

 ブランド「シャネル」の創始者であるガブリエル・ボンヌール・シャネルのノンフィクション作品です。自ら「伝説」を「創作」したシャネルの「真実」を丹念に取材した内容となっており、ファッションに興味が無くても楽しめます。特に興味深かったのは、当時の女性の服として定番だったコルセットから「質がよく、動きやすく、丈夫」という女性が積極的に社会進出する時代とマッチしたシャネルの服の出現が時期的に一致し、そのシャネルの服を最も評価したのが本国フランスではなく、覇権が英国から移ったアメリカであったと言うのは非常に興味深いものでした。
 このシャネルが生みだした価値観はいまだ変化していません。今では、「働くための服」というよりも、「普段着として質がよく、動きやすく、丈夫」というプライベートの部分までこの価値観が浸透してきてるのが現状ではないでしょうか?