奇想の系譜 辻 惟雄 ちくま学芸文庫

 江戸時代以前の画家を扱った学術本です。といっても、読みやすく面白い内容となっています。今で言えば、風刺画であったり、首や胴体がこれでもかというほどに切り裂かれたサディスティックな表現であったり、現代でも十分通用する迫力ある絵画が多数紹介されています。今でこそ、映画などの表現で当たり前になっている感はありますが、200〜300年前からこのような表現方法が存在していた点は驚くと同時に、当時も現在も一つの方向だけではなく、見方を変えた方向からの「真実」を見る視点の重要性は変わっていないと思いました。