「アジアとヨーロッパの肖像展」

 続いて、国立国際美術館にて「アジアとヨーロッパの肖像展」を見ました。浮世絵から16世紀のヨーロッパ貴族の肖像画、はたまた現代美術としての肖像写真なんかごったまぜの展示でした。
 昔の肖像としてはいかにモデルの「すばらしさ・権力の強さ」をみせるかというのに重点が置かれているのに対して、現代に関しては、肖像というものの、モデルはそこにいる人物ではなく「作品を見ている鑑賞者自身」というように変化しています。
 この展覧会で興味深かったのは、サングラスをかけた男性の5枚ほどの写真作品なんですが、一枚目は製作者自身、2枚目は瞳の部分から上半分が米国のレーガン大統領で下半分が製作者自身、3枚目も瞳の部分から上半分が米国の現大統領の父親・ブッシュ大統領で下半分が製作者自身、4枚目は上半分が米国のクリントン大統領、以下同様に5枚目は現ブッシュ大統領というように、歴代大統領の写真をはめ込んでるわけなんですが、不思議なことに作品タイトルをよくよく見た上で写真を見ないと気が付きません。気が付かないというより、5枚とも同一人物ではないかと思っていますぐらいです。つまり、人間は複数の顔を持っている、もっと言えば、成功も過ちも犯しうる、そのような存在だということなんでしょう。
 あと、フロアが別の現代美術の展示コーナーでは、女性のブロンズ像が一体あり、タイトルは「美女と野獣」でした。これなんか、人間の二面性をタイトルずばりで表現してます。
 私の感想としては、「他人には必ず自分が潜んでいる」ということなんでしょう。

 さて、今度は「コロー展」を見に行く予定です。