画商の「眼」力 長谷川徳七 講談社

 日動画廊社長の方が書かれた「画商」という職業と洋画に対する思いを書かれた本です。父親の代からの藤田嗣治とその婦人との付き合いなど面白いエピソードがいろいろ載っています。私がナルホドと思ったのは、「本物には理由は必要がない」というくだりです。偽者はどんなにうまく描かれている、つまり本物の特徴をうまく真似ることによって、それ自体が偽者であることを主張していることを示しているという、まさに逆説的な話は興味深いです。