神戸市立博物館「美しきアジアの玉手箱 シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展 」

 芸術の秋!第一弾は神戸にてシアトル美術館の展覧会を見てきました。市立博物館は昨年[コロー 光と追憶の変奏曲]を鑑賞に行って以来なので約1年ぶりの訪問でした。今回は昨年と違いスルッと関西3Dayパスを購入していたので、入館料が団体料金で入館できました(もっと早く知っていればよかったんですが(笑))。
 さて、肝心の展示内容ですが、かなり多岐にわたっていました。日本の縄文時代土偶から始まり、インドネシア・タイ・インドなどの東南・南アジアの仏像(各地域の顔の特徴が良く表現されていて興味深かったです。)や、中国や朝鮮半島青磁白磁といった陶器、唐時代などの中国の水彩画、そして、日本の陶器や仏像、絵画などなどバラエティに富んだ展示でした。そのなかでも、私が印象に残ったものは、

  1. 織部片輪車星文四方鉢」という織部焼きの陶器。17世紀前半の作品とのことですが、デザインがとても現代的でしばしここで立ち止まってしまいました。
  2. 「竹虎図」以前に春の京都で見た「竹虎図」は竹と虎を対に描いた作品の中でも最も迫力のある作品というとおり、迫力のある作品でしたが、今回見た作品はなんとも愛嬌のある虎(というよりも、猫のようにも感じてしまうほど愛嬌があるように感じました)でした。
  3. 「鹿下絵和歌巻」本阿弥光悦書・俵屋宗達画の巻物の大作。実はこの巻物22mもあるんですが、1950年代複数に分割して売却されたために、個人のコレクターや複数の美術館に所蔵されるという形になっています。素人目に見てもすばらしい作品であり、分割されてしまったのが悔やまれますね。
  4. 「波千鳥」墨で波を表現しているんですが、これが面白い。というのも、一本一本はただ線をふにゃふにゃと引いているようで、実際にはよく計算されたものであることがわかります。描かれたのが明治44年頃とのことで、近代に入っての日本画の変化の一端を垣間見たように感じました。

 しかし、これだけのコレクションを海外に流失させてしまった当時の日本と流出したために適切な保存がなされた作品たち・・・、なんとも複雑な感じがします。