ルワンダ中央銀行総裁日記 服部正也 中央公論新書

 1965年から1971年まで6年にわたってアフリカ・ルワンダにおいてIMFの依頼により中央銀行総裁の職を務めた日本人の服部正也氏(のちに世界銀行副総裁を勤められる)の当時の記録です。読み始めると一気に読んでしまいました。
 本書は、当時のルワンダは、まさにアフリカの中でも最貧国に位置づけられており、行政組織としても生まれたてといっても差し支えない状態のなかで、現地に入ってゆくわけですが、組織や仕組みを作り上げて行く上で「あくまで、現地の現状に沿った組織・システム作り」を指向した基本方針を徹底することにより、ルワンダ経済を離陸し上昇起動へと導く役割をルワンダの人々と「共に」成功された記録です。
 金融面だけにとどまらず、現状に即した経済再建の信念に基づき、農業を基盤とした経済発展とそれに付随する食物倉庫の建設、バス公社の設立など、一般的な中央銀行の役割を超えた分野まで挑戦され、成果をあげられました。
 しかし、これらの成果の根源となるのは、資源や技術の不足といったものある程度あるとしながらも、最大の要因は

途上国の発展を拒む最大の障害は人の問題であるが、その発展の最大の要素もまた人なのである。(ルワンダ中央銀行総裁日記・「ルワンダを去る」章)

という言葉は、あらゆる分野において共通するものであると思います。