国立国際美術館「風穴 もうひとつのコンセプチュアリズム、アジアから」

 日本を含めたアジアの現代作家を焦点に当てた展覧会です。最初、「コンセプチュアリズム」とはなんのことだろう???と思ってたのですが、見てわかったのは要するに一発ギャグ的な一度きりに近い作品群であるということで、必見か?と言われれば、答えは「違います」ということになると思います。しかし、作品の中にはなかなか興味深いものがいくつかあり、見て損なことは無いと思います。
 私が印象に残ったのは

  • ベトナムのガソリン売りやバイク修理の看板の写真←(これは、以前にNHKの「世界ふれあい街歩き」でも紹介されていたのですが、タイヤを二本立てかけておくとこれが修理屋さんの看板という意味で、店舗がなく、露天の修理屋さんといったところ。)TVで見たときは、普通のタイヤを単純に2本立てているだけだったんですが、写真を見る限り、様々なバリエーションの「看板」が存在しているようで、ベトナムの人にとっては何も珍しい光景では無いはずのものが、我々海外の人間からすれば、それぞれが個性があって面白いと感じました。
  • 避雷針ならぬ誘雷針ともいうべき鉄骨の建造物←日本のPlayという芸術集団が雷が落ちるために作った作品なんですが、実は10年にわたり雷が落ちるのを待っていたにもかかわらず、一度も落ちることがなく、プロジェクトは終了するという結末を迎えたという作品で、あれだけ近くで雷が鳴り響き実際に落雷しているにもかかわらず、なぜ、誘雷針には落ちなかったのか?まさに、不思議といえば不思議なんですが、なんだか、人間の運命にも似ているように感じたりしました。
  • タイの映像作家の方の作品←ミレーの「落ち穂拾い」という有名な作品を含む3作品をタイの現地の農村部の人が、自由に見た感想を語り合うという作品で、大画面で映像が投影され、観覧者も画面の中の語り合う現地の人と同じ目線の高さで絵を見ているような錯覚を受けるのにまず驚いたんですが、談笑の中身を聞いていると、まさに、絵の話題から世間話や身内の話といった具合に、自由に話が変化していく様子がわかり(つまり、絵を見て何を感じるかは観覧者個々のそれぞれの自由であり、そこから新たな発想が生まれるという事がわかり)、この作品が私の中では一番面白かったです。

 しかし、正直なんだかわからない(理解不足?)作品群もありまして、ピンキリな感じですね。