「早川良雄 ポスター展」

 国立国際美術館のシンボル・マークの制作も手がけているグラフィック・デザインの作家の早川良雄氏のポスターを集めた作品展で、初期の頃から晩年にいたるまでの変遷を見ることができます。驚いたのは、その年代の時代の空気に沿った作品作りが行われており、60年代70年代80〜90年代というように、日本社会が高度成長から成熟期へと移行するその時代を見事に写し取っているのには驚きました。
 特に、86〜90年ごろの企業広告のポスターは、このころ既に、「創造的」「緑」というような今でもキーワードとして上がるような言葉が書かれており、それに合わせた太陽(←この作品では私には小野竹喬の最上川の上の太陽を描いた作品を思い出しました)などの絶妙な作品はこの当時の時代背景(私には幼少の時期と重なる)を考えてしまいました。
 とにかく、ただ単純に早川良雄氏の作品展というだけではなく、戦後の日本の一つの歩みの記録としても興味深いものであるのは間違いありません。