大阪市立美術館「没後150年 歌川国芳展」

 春の美術展第三弾は、今年の春の目玉「没後150年 歌川国芳展」をOKUMUと一緒に行ってきました。今回の展覧会は、関西では初めての歌川国芳展ということ、また、過去最大規模の展示となることなど、大注目の展覧会でした。
 結論から言いますと、良い展覧会であったと思います。まず、初期の武者絵などから始まり、歌舞伎役者のブロマイド、江戸庶民の日常などなど、まさに「奇想の画家」、現代においてもその独創性は際立った存在であると改めて思いました。
 しかし、なんといっても一番の見所は、天保の改革により贅沢が禁じられ、娯楽としての歌舞伎や女性を描いた浮世絵などが禁止されたことに対抗して、猫や鳥や妖怪を人間の代わりにイキイキと描き、まさにユーモアあふれる「奇想の画家」と呼ばれる所以であると感じました。特に、歌舞伎役者をわざと「らくがき」と称して描いた作品は見事でした。
 この、改革によるまさに浮世絵にとって「暗黒」とも言える時代。ただ、反骨精神だけではなく、それを新たな世界観に昇華させ、なおかつユーモアを含む見事な作品に仕上げた歌川国芳というその人の魅力と、現代のこの閉塞状況に何が必要とされるのか?改めて考えさせられた展覧会でした。