日本を捨てた男たち〜フィリピンに生きる「困窮邦人」〜 (著)水谷竹秀 (出)集英社

 発売から約4ヶ月ほどで第5版まで刷っている本書。それほど、関心を引く何かがあるからなのかもしれません。私も、タイトルに惹かれて本書を読みました。
 登場する登場人物たちは、日本を「捨てて」フィリピンにフィリピン人妻(多くはフィリピンパブで知り合った女性)を追いかけて日本を捨てた結果、現地で所持金を使い果たしてしまい、路上生活者となってしまった男たちで、フィリピンの現地の人達から施しを受けながら生きながらえている実態が描かれています。
 共通するのは、何らかの事情があってフィリピンに来たというよりも、本人の資質による要因が大半である点、日本においては血縁者及び職場においても何らかのトラブルを起こしており、頼るものがいないという点。これらは、以前に読んだ「無縁社会〜無縁死三万二千人の衝撃〜」「遺品整理屋は見た」にも共通する部分があるように感じます。もっと言えば、日本の病巣を3つの視点から見ているとも言えます。
 本書のように、ここまでフィリピンの人の中にも寛容性がある人達がいるという事実に驚くと同時に、現実的に日本では同じ事を行うのは無理であると断言せざる負えないと思います。と、同時にこのような方面へ如何にして対処してゆくべきなのかも考える必要があると思います。*1

*1:なぜなら、日本で対処すべき問題を海外へ流出させている側面もあると思うから