神戸市立小磯良平記念美術館「マリー・ローランサンとその時代」

 この小磯良平記念美術館は神戸の六甲アイランドにあり、前々から一度行ってみたいと思っていた場所なんですが、なかなか行く機会がなく、今回、GWの連休中で観光地(神戸なら元町周辺、京都市内など)は絶対に混雑している事を考え、案外穴場のこの美術館の展覧会を選んだんですね。で、実際に行ってみると想像していたよりも良い内容で、また、常設の小磯良平の作品も見るものを立ち止まらせる力のある作品が多数あり非常に満足でした。
 この美術館には、小磯良平が約40年間使用したアトリエがそのまま移築されているのですが、そこで、偶然解説員の解説時間と合ったので約20分の解説を聞くことも出来ました。
 小磯良平は、子供の頃より裕福な家庭の息子だったこと、及び、身近に神戸の洋館街があったこともあって西洋文化に慣れ親しんでいた経験が後の画風に影響していると思われるそうで、実際、アトリエの建築物から調度品など、日本人の感覚と言うよりもヨーロッパの感覚で集め設計されているように感じました。が、しかし、そこは日本人であるためか、庭の洋風の柵の間には石灯籠があったり、木製の食器棚にはガラスのコップと同じ所に白磁の陶器がおいてあったりと、非常に興味深いものでした。
 面白いのは、イーゼルの前に小磯が常に座って描いていた椅子が、普通の事務用の椅子だったことで、本人はこれが一番座り心地が良いと気に入っていたとのことでした。
 とにかく、アトリエの解説を聴くだけでも、行った価値アリと思いましたが、なんと、今秋に小磯良平の回顧展*1が開かれるそうで、神戸市立博物館でのフェルメールを見るのと一緒に訪れたいとおもいます。

*1:今回は展示はありませんでしたが、小磯良平の戦時中の「戦争画」の側面も触れられるとおもいます。