謎の独立国家ソマリランド (著者)高野秀行(出版社)本の雑誌社

 今年おそらくNo1の本になるんじゃないかと思います。かなりの大作の本書。全部で500ページほどあるんですが、あまりにも面白いので一気に読んでしまいます。
 アフリカのソマリアと聞けば、イメージ的には崩壊国家という文字が浮かぶんですが、はたして、現地にはコーラ工場があったり、はたまた海賊が多数出没し、各国の海軍が海賊警備にあたるなど、イメージが本当に悪いというか謎に包まれているということしか知らなかったんですが、実は、そのソマリアの中の一部地域だけが勝手に独立し*1、治安状態も極めてよく日本のように夜に外出しても大丈夫で、かつ、行政も完備され、民主的な選挙により議会が運営され、独自の通貨まで保有しているという謎の「ソマリランド」の実態をレポートした本です。
 本書を読むと、一体国家ってなんなんだ???ということを強く考えさせられます。とにかく、日本人の感覚からははるかに超越した社会が築かれているソマリランドやその周辺のソマリア内の独自国家の数々を知ると、これが21世紀なのか?!と思ったりします。お勧めの本です。

*1:独立といっても、国際社会は一切認めていないので、自称ということなりますが