NHK−BS ドキュメンタリーWAVE「追跡・カナダで育ったテロリスト」

 日本人も犠牲になった事で記憶にも新しいアルジェリアの石油プラント襲撃事件。この事件の犯人の中にカナダで生まれ育った人物が2人含まれていたという事実*1や、ボストンマラソンで起こったテロ事件においても、カナダ生まれの人物が犯人だったという事実を取材したドキュメントです。
 番組を見て驚くのですが、これらの犯人の出身地を取材すると自宅の庭にプールがあったり高級車がガレージに止まってあったりというような高級住宅街出身であるという事実。さらには、地元で有名な進学校で自由な校風の高校に通っていたなどという事実。なのになぜ、テロ思想に染まっていってしまったのか?という疑問。
 番組では、犯人の幼馴染という人物などがその原因を語っていくのですが、現実と自分の理想とのギャップ*2に悩んだ末に過激思想に染まっていく*3という過程とそれをうまく利用するテロ集団の存在を報告していました。
 この過激思想への染まっていく過程を見ていると、私にはとても海外の出来事とは到底思えず、思わず戦慄が走りました。振り返れば、過去に日本でも戦前では血盟団事件、最近ではオウム事件というように、過激思想に一見裕福であったりインテリであったりというような人物が染まっていってしまうという事件がありました*4。日本においても、厳然たる事実として階層社会が生まれてきている現状で、同じ歴史の繰り返しを起こさないためにはどうするべきなのか?今一度よく考える必要があると感じました。

*1:特に、一人は元々はギリシャ正教信者だったのがイスラム教に改宗した人物だったという事実

*2:それは、自分ではどうすることもできない現実に対する閉塞感

*3:その現実への閉塞感を精神的なものに救いを求めていく

*4:さらにいえば、これらの事件の真相は未だに解明されていないと言ってもいよいと思います