国立国際美術館「工藤哲巳・回顧展」

 私が、この国立国際美術館へ行くようになってから初めて知った作家なのですが、今回、大規模な回顧展が開かれるということで見に行ってきました。
 入口に「初めて目にする方は表現方法に驚かれるかもしれません」というような旨の注意書きがありました。私の場合は、何度が作品を見たことがあったので、特に違和感はなかったですが、最初はギョッとする部分はあるので書く必要がったんだと思います。
 肝心の展示内容ですが、一貫して社会に対する問いかけ、そして、芸術に対する問いかけを貫き通した一生であることがよくわかりました。特に1960年代からすでに彼の提起した原子力や遺伝子操作などに対する問いかけについて、震災と原発事故を起こした今の日本において根源的な議論をしなければならないと改めて感じました。
 それにしても、この展覧会。入館者が意外に多かったというのに驚きました。はっきり言ってかなりマニアックな展覧会であり、万人受けするものでは決してないのですが、それでも、観覧車が私が想像していたよりも多かったという事実は、この工藤哲巳の問いかけを直接見ようとする人が多いということなのかもしれません。