京都国立近代美術館「うるしの近代――京都、「工芸」前夜から」

 夏の美術展として、京都にて京都の漆工芸についての展覧会を見てきました。公家の中心地であった京都において、また、明治以降の幕藩体制の崩壊と東京遷都は、漆工芸品の主な大口顧客であった、公家や大名家を失う結果となり、その、販路の活路として、明治新政府が進めた、海外への手工芸品の輸出であったというのが大きな流れとしてあったとの事。その中で、いかにして、京都の工芸品が変化していったのかを順を追ってみることができました。
 たとえば、公設の美術学校(現在の京都市立芸術大学)の中に工芸科ができ、徒弟制度ではなく教育のプログラムとして工芸の技を伝承していく基礎が築かれたりという歴史から、新たな、工芸の担い手が生まれてきたことが確認できました。
 それにしても、作品を見ていると時代の変化に合わせて、また、注文主の意向に合わせて、例えば、漆工芸の技術を使ってラジオ台を作ったりというのは、やはりアーティストなんだなーと思います。