大暴落1929 (著)ジョン・K・ガルブレイス (日経BPクラシックス)

 私の住んでいる近辺の本屋では扱っていなくて、先日、三井寺展を見に行ったときに購入しました。1929年のNY証券取引所の株の暴落の事実について書かれています。これが非常に面白い!現在起こっているリーマンショック以降の経済の悪化とも(当時とは環境は違いますが)比較したとしても大いに興味深い関連性も感じることができ、歴史は繰り返されることをまざまざと見せ付けられます。
 結局、経済構造の基本がいびつで「不健全」な状態であればあるほど、ショックに対して無防備であり、影響も即座に甚大となることが事実として歴史の教訓として書かれています。そのために、ショックを起こさないシステムを作り、万が一に備えた安全網の整備も現在ではなされていますが、この安全網もショックの度合いによっては破れるかもしくは、想定外の部分から破れ出す部分が発生するかもしれない。この状態を阻止するためにも、最適な配分と適正な金融・財政運営が必要であることがよくわかります。
 しかし、現在起こっている現実を見てみると、システムは整っていたものの最適な時期に最適な政策を発動できていたのかという点ではやはり後年反省材料となるのではないでしょうか?そのように感じました。

(12月18日追記)
 この本を読み終えると同時期に、前ナスダック社長の巨額詐欺事件が発覚しました。世界中の金融機関やプライベートファンド、中には欧州では自治体の財源が危機に瀕してしまったりという情報なども流れています。
 結局投資した金融機関の審査が甘かったこと、監視すべき立場であった証券取引監視委員会が機能していなかったということが実証された形となってしまうと同時に、前回の1929年の大暴落の教訓はなんだったのかとおもったりします。
 この先どうなるのか?まさか本書のような結末になるとは思いたくないですが・・・。