「ハチはなぜ大量死したのか」 ローワン・ジェイコブセン(著) 中里京子(訳)<文藝春秋>

 新聞や雑誌の書評欄で取り上げられた話題の本です。私は、書評でよく取り上げられる前に購入していたのですが、読む時間がなかなか取れず、最近ようやく読める時間ができたために本書を読むことができました。
 結論から言いまして、本書は今年のノンフィクションの本の中では年末には必ずランクインしてくるであろう内容となっています。ハチがなぜ失踪したのかを追跡するにつれ本来の生態とはかけ離れた環境におかれてしまっているミツバチたちの現状。これはすなわち、現在の農業、さらには、先進国における現代生活の重大な問題点に関する警告であるとの問いかけには思わずうなずいてしまう点が多々ありました。
 そしてなにより、今私たち人間が生活している環境はこの蜜蜂たちの環境とどれほど違うのだろうか?と考えたときに、もっといえば、ストレスなどの精神的な環境圧迫の時代においていかにすれば良いのか?この蜜蜂からの警告は重い重いものであると感じました。