フェルメール 〜謎めいた生涯と全作品〜 小林 頼子 角川文庫

 前回、ルノワールの文庫本が文庫本とは思えないほど結構内容の濃いものだったので、そのシリーズとして発売されている「フェルメール」を購入しました。
 読んでみて初めて知ったのですが、フェルメールはその存命中は、それなりに当時であっても評価を受けていたものの、その晩年にはさまざまな要因から破産状態となり、結局、自身の没後に妻がフェルメールの作品を借金返済のために売りたてしなくてはならないほどの困窮状態になってしまっていたようです。(パン屋の「つけ」も払えないほどの困窮状態だったようです)
 フェルメールといえば、昨年の「ルーブル美術館展」で見た(まぁ実際にはチラッとだけ見れたというのが正しい表現でしょう(笑))「レースを編む女」を思い出すんですが、見たときは「こんなに小さいものなのかー」と思ったんですが、本書を見る限り現在わかっているフェルメール作品の中で最も小さい作品だったようです。どうりで小さいわけです(苦笑)。
 本書によれば、フェルメールが亡くなってから再び脚光を浴び始めるのは、印象派が世間に出始めたころに重なるそうで、世の中の変化(貴族層からブルジョア富裕層への絵画購入者の変化)なんかが大きな要因となっているそうです。