久しぶりに「妖怪画談」を読む

 10年ぶり、いやもっと前でしょうか?バブル経済が破裂して数年たった1992年に新書としては異例のヒットとなった水木しげるさんのカラー版「妖怪画談」を久しぶりに読みました。実を言いますと、この「妖怪画談」は「続・妖怪画談」「幽霊画談」「精霊画談」というように続編が出ていまして、(このあとも続編が出ていたのかもしれませんが、正確には知りません)私はこの「精霊画談」までは持っています。
 読んでみて驚いたのは、10年以上前の作品にもかかわらず、色あせることが全く無く、普通に楽しく読むことが出来た点です。今思えば、当時は私は中学生だったはずであり、世の中も「お金」一色からバブルが破裂した夢の後の直後というような状況だったわけですが、今改めて本作を読んでみると、リーマンショック以後の状況下の中でのTVドラマのヒットもありますが、久々の水木しげるさんブームというのも偶然の一致では無いのかもしれません。
 結局、妖怪や幽霊、神様というような存在は、人間が生きてゆく上で普遍的な感情(喜怒哀楽)から生まれてきたものであり、それは、時代や国・文化に関係なくすんなりと受け入れることができる存在であるがゆえに、本書も楽しく読むことが出来たのかもしれません。そして、混乱期においては、その普遍的な存在としての妖怪達になんらかの原点回帰的な視点が含まれるがゆえに、魅力があるんではないか?と感じました。