宇宙からの帰還 (著)立花隆 (出版)中央公論社

 最近、「ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験」を読んだこともあり、本当に久しぶりに(たぶん、高校生のとき以来じゃないでしょうか?)「宇宙からの帰還」を読み直しました。
 読み直してまず驚いたのが、内容に古さが無いのはさすがなのですが、「ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験」において、なぜ?『ユーモアがあり』という点が重要なのか?また、NASAの採用試験においてなにゆえに最終的に「技術力や学力ではなく面接によって採用の可否を決定」するのか?この「宇宙からの帰還」を改めて読むと、その答えがはっきりと描かれていました。
 NASAアポロ計画(月面着陸計画)においての宇宙飛行士に採用された人物達は、極めて個性的な人物が多かったがゆえに、他の飛行士達と不仲になってしまった事例や、権力志向的であるがゆえにNASAを去り国会議員になったものなど、色々な事例が載っていました。
 また、「ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験」では触れられていませんでしたが、人物採用面においてアポロ計画当時は、国民に多額の税金の使用を認めてもらうがために、宇宙飛行士の「見た目」についても重要なポイントとして採用がなされていたことが伺われます(「こんなやつのために、税金を使うのか?」という批判を避けるためだったようです)。この点は、以前にTV番組「アクターズスタジオ・インタビュー」で女優ナタリー・ポートマン
(ここより引用)

ハリウッドで成功する条件として、女優であれば見た目が「美人」であることは、残念ながら重要なポイントです。「美人」であることは他の人より有利であるという事実は現実として存在します

(以上、引用終わり)
と語っていましたが、このアポロ採用計画当時も実際に同様の事が行われていたようです。現在では、見た目の重視と言うよりも、アメリカという土地柄、多種多様な国や人種の人が選ばれている傾向にあるというのが現状のようです。
 それにしても、宇宙飛行士という世界は我々一般人の世界とはかけ離れた存在である部分はあるにせよ、それでも、我々一般の世界における生活において何が重要なのか?を改めて考えさせられる、魅力あるものであるというのが、私が、本書を読んで再度認識した点です。