国立国際美術館「ウフィツィ美術館 自画像展」

 続いて、大阪に移動し、国立国際美術館にて「ウフィツィ美術館 自画像展」を鑑賞してきました。以前にTVで、このウフィツィ美術館の通常は非公開(予約者のみ鑑賞可能)の回廊にある自画像コレクションが今回やってくるということで、是非とも見に行こうと思っていたものでした。
 実際に見てみると、設立当初から年代順に現代に至るまでそれぞれの多種多様な自画像が展示されており、なかなか興味深いものでした。面白いのは、自画像といってもただ単純に自分自身の顔だけを描いたというものは少数で、実際には趣向を凝らしたものが多いというのは興味深い点でした。例えば、自分自身ではなく、自画像を描いているキャンバスと自分自身を観察するための鏡に映った「間接的」な自分自身の姿であったり、その時代時代に応じた雰囲気が反映されていたり(例えば、写実的であったり、抽象的であったり)、時代を皮肉ったものであったり(←これは、週刊新潮の美術コーナーで紹介されていた作品。「裕福と精神的豊かさは反比例する」という過去の格言が、「現代では通用しなくなっている」という二重の意味での皮肉を表現した作品)、バラエティーに富んだものが多かったです。
 その後、常設展へ足を運びましたが、今回は国立国際美術館が収集した日本の現代作家の年代順のコレクションが展示されていました。見ていて気が付くのは、現代美術は案外独創的なもの(言葉を変えれば難解なもの)が多いように私なんかは感じるんですが、こうやって年代別に並べられると、明らかにその時代時代の雰囲気を敏感に感じ取った作品が生まれており、それは、その先10年後を示唆する内容ともなっているのに気が付かされました。第二次世界大戦後から朝鮮戦争安保闘争の時代、大阪万国博覧会ベトナム戦争、先進国の仲間入り、バブルの生成と崩壊、失われた20年・・・。これらの時代の変遷を思いながら作品を見てゆくと不思議とリンクしている部分が多いように感じました。