資本主義はなぜ自壊したのか (著)中谷巌 (出版)集英社

 出版当時は結構話題の本となったのですが、正直、単行本で購入するのは躊躇した面がありましたが、今回、文庫本として発売されたので、購入しました。なんといっても、中谷巌氏といえば、国の規制改革の旗振り役の中心にいた人物であり、その人が書いた「懺悔の書」というのが宣伝を含めてインパクトがあったのですが、実際問題、結果としては、デフレの脱却もできることなく、ズルズルと現在まで日本経済が来てしまったというのが現実であると思います。
 本書を読んでまず感じるのは「経済学の本ではない」という点です。日本における文化・思想的な視点から、これまでの日本と今後の日本を見るというのが本書の骨格であると感じました。この視点を元にして個々が例えば経済学の立場から、社会学の立場から「それぞれの見識に沿った行動を行っていきましょう」というキッカケとなる本であると感じました。
 しかし、本書でも触れられているとおり
(ここより引用)

アメリカかぶれとなっていた」

(引用ここまで)
というのは、特に中谷氏だけというのではなく、私自身を含めて程度の差はあるとしても大多数は同じではないかと思います。私は、そう感じるがゆえに、「過去を振り返る(ここでいう過去とは、私より以前の人々の経験と言い換えても良いと思います)」重要性を改めて最近強く思います。