オオカミの護符 (著者)小倉 美惠子 (出版社)新潮社

 関東の一部(奥秩父など)に伝わる「オオカミ信仰」についての本書です。本屋さんで偶然見つけて購入しました。ジャンル的には民俗学になると思います。発売が昨年末で既に4版になっているので、結構マイナーなジャンルの本とすればよく売れているだと思います。
 本書は、オオカミ信仰の全体像を広く捉えた内容となっており、今でも、フトマニ(昔、歴史の教科書で習った、動物の骨を焼いて吉凶を占うもの)が行われていたり、「講」を作りオオカミ信仰の神社に参拝する風習が残っていたりという事例が紹介されています。
 本書を読むと、日本には各土地固有の文化が存在しており、この均一化が進む現代において、この各地方固有の文化が大きな意味を持ってくるというのがよくわかると同時に、現代のように生活の面では上水道や電気が完備された時代以前の暮らしが、実はほんの少し前まで行われており、その、生活の困難さを「講」のような地域のつながりが緩和させていた実態が伺われます。
 先日読んだ、「第四の消費」への流れが進んでいるのだとすれば、本書に書かれている事実は一つの回答となるのではないか?と感じました。